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1.          研究背景

 バイオメタネーションは、微生物の働きで二酸化炭素と水素からメタンを生成するカーボンリサイクル技術であり、再生可能エネルギーの有効活用に貢献します(図1)。特に ex-situ 型は、独立した反応器で反応条件を制御できるため、高効率なメタン生成が期待されます。

 しかし、水素は水への溶解度が非常に低く、水素をいかに効率良く溶解させるかが重要な課題です。

図1 バイオメタネーションによるe-メタン生成と利用先.png

図1 バイオメタネーションによるe-メタン生成と利用先

2.          研究目的
 本研究では、超音波や散気装置、スタティックミキサーをはじめとした種々の微細気泡化装置を用いて水素の溶解速度と効率を向上させ、メタネーション反応の効率化を目的としています。

3.          実験方法
 総容積6.5 Lのリアクターを55℃で運転し,H₂/CO₂=4:1の混合ガスを供給しました(図2)。純水系では超音波,散気ストーン,スタティックミキサーの3方式を比較し,KLa,水素溶解効率,気泡径を評価しました。消化汚泥を用いた連続実験では,出口側メタン濃度,メタン生成速度を評価しました。

図2  実験装置の概要(バイオ).png

​図2 実験装置の概要

4.          実験結果

 スタティックミキサーは、純水系で平均61 µmの微細気泡を形成し(図3)、KLa 233 h⁻¹、溶解効率72%を示しました。これは通常の散気装置と比べて、KLaで約20倍、溶解効率で約7倍の向上にあたります。 

図3 スタティックミキサーによる微細気泡化の気泡径分布.png

​図3 スタティックミキサーによる微細気泡化の気泡径分布

 この方式を汚泥系に適用したところ、最大で4.08 L/L/dayのメタン生成速度と、平均79%(※バイオガス混合条件換算で93%)の高い出口メタン濃度が得られました(図4)。

※本実験ではH2とCO2のみの投入条件ですが、実施設では,バイオガス(CH4:CO2=6:4)に水素を混合した(H2:CO2:CH4 =16:4:6)を採用するためその条件に換算した際の出口側CH4濃度​

図4 連続実験での平均出口側ガス組成(バイオ).png

図4 連続実験での平均出口側ガス組成

 下水汚泥由来のバイオガスと再生可能エネルギー由来の水素を組み合わせることで、地域内で完結する循環型エネルギーシステムの構築も期待されます。これらの技術はCO₂排出削減やエネルギー自給率向上、下水処理場の運転コスト低減など、多方面で社会的価値を生み出し、持続可能な社会の基盤技術となります。 

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